パチンコ詐欺 T要町店物語 第9話

鮫島は最近ふと思うところがある。

 

オレ客になめられてなあか?

 

完璧になめられている。

そういえばこの間も客と目があっただけでぶん殴られたうえ、閉店後帰りに待ち伏せされてボコられた。暗闇の中だったので犯人が同一人物であるか確証はない。

 

店内でも客とすれ違いざまに"おいカス"だの"ハゲ"だの怒鳴られるのだ。

 

 

俺をなめたらどうなるか・・・思い知らせてやる。

 

とりあえず遠隔ホルコンで無抽選にして・・・

モニターで監視しなが態度の悪い客に嫌がらせをする。客が激アツスーパーリーチを引いた。金わく演出、ステップ5まではってん、激アツ金カットイン。煽り演出込みで大当り到達率90パーセントの超熱い展開。

客は当たったものと思い余裕こいている。

 

しかし、鮫島によるホルコン遠隔大当りカットによりハズレ

 

そもそも最初から抽選などしていないのだから激アツだろうが90%だろうがハズレるでしょ

 

う・・嘘だろう。客の信じられないといった表情をモニターごしに確認する。鮫島の至高の時間だ。さぞ悔しいのか台を叩きだした。結構激しいストレートパンチだ。

 

鮫島は注意を与えるために客はのところへ駆けつけた。

 

「お客さん、もっと静かに遊んでもらえませんか?他のお客さんにも迷惑なんですよ。」

 

 

 

今日の鮫島はオールバックをポマードで固め黒革に鉄鋲のベルト、マッドマックスをイメージしたチョイ悪親父風をよそおっている。これでなめられはしないだろう。

オレの勝ちだ・・・ふふ

 

「お客さんみたいな・・・」

 

追い討ちのセリフを浴びせようとしたそのとき、鮫島の体は宙にういた。そして意識もとんだ。入れた歯もすべて飛んだ。

 

強烈なアッパーカット。致死率90%越え。

鮫島は頭から地面に落ちピクリとも動かなくなった。見事大当り。

 

哀れ鮫島

 

 

つづく

 

 

 

 

 

パチンコ詐欺 T要町店物語 第8話

今日も店内はガラガラである。

パチンコのコーナーには客が3人のみ。すべて常連の老人である。

もはやサクラを投入する気力もなくなってしまった。

もちろんホルコンで無抽選営業にはしてある。決して当りを引くことはない。無抽選なのだから。

精気の抜けたパチンコ中毒者。廃人。

パチンコは人間をダメにする。無気力、無抵抗。そして借金を積み立てる。

借金を苦に自殺するもの、犯罪に走るものが増えていると聞く。その裏にはパチンコが関わっている。

パチンコの抱える闇、大きな社会問題となり。メディアでも取り上げられた。

金と不正。

これがパチンコの正体だ。

いまや社会から締め出しを食らいつつある。

N朝鮮問題も発覚し一般大衆からドン引きされてしまったのだ。

しかも、遠隔、ホルコン、顔認証システムとすべてばれている。

もはやパチンコなど打つこと事態頭がいかれているのだ。

打ったら負ける。確実に集金される。

集金された金はN朝鮮に送金されている。

鮫島はモニターごしにパチンコ中毒者どもを見てほくそ笑みをうかべた。

 

その時、客の内2人が諦めて帰り支度をはじめてしまった。まずい。事務所を飛び出して店内にいそいだ。客の帰りを思い止まらせなければ・・・

 

時すでに遅し。

 

店内には鮫島とぱち中毒の老人(推定80歳)の2人だけとなった。

 

そして、その老人は失禁しているうえ、もはやパチンコを打っていなかったのだ。

 

 

つづく

 

 

 

 

 

 

 

バチンコ詐欺 T要町店物語 第7話

「店長、トイレがぶっ壊されました。」

アルバイトの佐藤が事務所に駆け込んできた。

トイレに行ってみると水でビショビショ。便器が割れていて機器も壊されている。

負けた腹いせだろう。

防犯カメラで犯人の映像を確認して警察に通報するんだ。指示をだして、とりあえず清掃にとりかかる。

「ダメです。カメラが先にやられています。何も撮れていません。」

客はわずかな常連だけである。

犯人の特定をするんだ。

逃げられないように閉鎖だ。

2箇所の出入り口に佐藤と中島を配備、鮫島は店内の一人一人に訊問していった。

 

「お客さん、いまうちのトイレが壊されたんですよ。何かしりませんか?」

 

「はぁ、しらねーよ。俺を疑ってんのか。ざげんなこコラァ。」

 

鮫島はぶん殴られた。

 

歯が2本飛んだ。

 

「な、なにを・・なんで殴るの・・・」

客は遠隔による無抽選台を3時間も打って

イライラのピーク状態であった。

鮫島に馬乗りになりトドメの一発を放つためにふりかぶった。

「ゆるしてー。もうしませんから。」

鮫島は思わす叫んだ。しかし時すでに遅し。顔面にスーパーライトニングメテオが炸裂。

ほぼすべての歯が吹っ飛んだ、

 

鮫島は気絶してしまった。

 

後日トイレを壊した犯人は別の常連ババァであることが判明した。

 

しかし常連ババァはその日の負けたショックで帰らぬひととなっていたのだ。

 

これでは訴えることもできない。

 

すべての歯を失った鮫島、3ヶ月後には命もとられるかもしれない。

 

なんとしてでも客を戻し、売上、利益を出さなくては・・・

鮫島の苦悩は続く

 

 

つづく

 

パチンコ詐欺 T要町店物語 第6話

「本国への送金額が減っている。総裁は御立腹である。我々は一年以内にS朝鮮に侵攻する予定である。そのためにも資金調達は重要だ。手段はどうであれ金を調達するのだ。わかったか。」

キムはそう言って鮫島の肩に手をおいた。

「3ヶ月待とう。結果をだしてくれ、」

 

これは3ヶ月後の死刑宣告。

 

今の状況でも店内に客はサクラも入れて7人である。事務所内に大当り発生を知らせる音が鳴った。店内で一般客が大当りを引いたようである。

キムの眉間にしわがよった。

「中嶋くん、大当り確率を1000分の一まで落としてくれ。連チャンはなんとしても阻止するんだ。」

中島は事務所内のパソコンから確率操作の作業を急いだ。全ての台はこのコンピューターからの操作で確率の操作ができるようにしてある。

「中嶋くん、全ての台の確率も落とすんだ。今日はあたり無し営業でいい。」

 

「無抽選モードでよろしいですか?」

 

「そうだ、そうしてくれ。客の投資を全額利益にするんだ。それでもまだ赤字だ。」

 

モニターで大当りを引いた一般客を監視する。

 

STをスルーした一般客は台に1発2発台パンして怒って帰っていった。

 

「では3ヶ月後また来るから。結果を楽しみにしているよ。」

 

キムはそう言って去っていった。

 

 

つづく

パチンコ詐欺 T要町店物語 第5話

鮫島は説明する

「当店舗ではホールコンピューターによる出玉制限の徹底、顔認証システムによる不良客の排除、遠隔システムによる確率操作またパチンコ中毒者数の増加を目指し現代テクノロジーの全てを駆使しております。」

 

つい力がはいり声が大きくなってしまった、

 

「店長、声が大きいです、外に聞こえます。」

 

副店長の中島が注意の声をあげた。

 

副店長の中島は鮫島が絶対的信頼をおいている腹心、この店舗を10年にわたり支えてきた戦友でもある。

 

「どうやらこの店舗には店長より優秀な部下がいるようだな。」

 

キム目が中島に向いた。

 

「いや・・ち。違います。そういうつもりでは・・・」

中島は顔を反らした。

 

興奮気味の鮫島は立場を失い途方にくれてしまった。

 

なんとかこの場を快復しなければ殺される可能性まである。

もうミスは許させない。

 

鮫島はあせった。

 

つづく

パチンコ詐欺 T要町店物語 第4話

鮫島は緊張しつつも現状況の説明にはいった。

 

「説明いたします。当店舗は5年前より導入しました顔認証システムにより不良客の閉め出しに成功しております。」

 

「不良客とはなんだ」

 

「はい、不良客とは負けた腹いせに台パンを繰り出したりゴミをぶちまけたり、酷いものは店内でショウベンやウンコをたらして帰るものもいるのです。そういった客を不良客とよんでいます。」

 

「なに、ウンコまで・・日本人は比較的キレイ好きで礼儀正しいと聞いているが、それでは我が本国と変わりないではないか。」

 

「作用でございます。我々はホルコンと顔認証システムを駆使して不良客を排除しスマートパチンコ、上品かつエレガント、富裕層の遊びとしてのパチンコを目指し頑張ってきたのです。」

鮫島は自己の想いでもあり業界全体の指針でもあるスローガン"スマートパチンコ"について熱く語った。

 

キムは鮫島の言い分を聞き終えて言った。

 

「それで客と売上がきえたのか?この店に金を落としていたのは行儀の悪い不良客の方ではなかったのか?どうだ?」

 

鮫島の額から冷や汗とも脂汗とも知れぬものがどっとふきだした。

 

つづく

 

 

パチンコ詐欺 T要町店物語 第3話

本部の人間が来た。

「私がキムだ」

鮫島に対し超高圧的にマウントをとってきた。

鮫島は上の者に対しては極端にへりくだる。そうやって今まで生き残ってきたのだ。

キムは日本人ではない。

隣国N朝鮮国籍の人間だ。

鮫島を冷たく侮辱の視線で見つめてから言った。

「売上が少ないようだがどうなっている。説明してみろ」

鮫島は氷付いた。

「え・・・あっ・・・あの・・・」

 

「状況と経営方針を説明しろ」

 

事務所内には店内を見渡せる監視モニターがついている。パチンコのフロアに客はほとんどおらずわず総数でわずか7名。内3名は鮫島が仕込んだサクラだ、

 

「それでは今から当店舗の経営方針をお話しいたします。」

 

鮫島は覚悟を決めた。

 

つづく