パチンコ詐欺 T要町店物語 第10話

本部からキムが来てからもう1ヶ月がすぎた。

 

鮫島は在日N朝鮮人2世である。日本人として暮らしてきたが心の底では自分は大陸の血が流れているのだ、という自負をもっている。

 

成長するに従い、ほ本国に貢献したいという思いが頭をもたげてきた。

 

自分に出来ることはパチンコ屋の店長として

本国に送金し総裁様に喜んでいただくこと。

そのためにも客を遠隔ではめて金を回収する。手段は選ばない。

今日はどういうわけか何時もより客が多い。日頃の努力がようやく実を結んだらしい。

 

一時現金回収に向かうアルバイトの佐藤と現金収納袋をもってフロアにむかった。

 

久しぶりに札束をさわっている気がする。

すぺての現金をあつめおわり事務所に戻ろうとしたそのとき佐藤が後頭部をバットで殴られてたおれた。

鮫島は周りをみわたしたが4人の輩にかこまれている。

店内で白昼堂々と襲撃してきたのだ。

「お前らこれは犯罪だぞ。」鮫島は叫んだ。

 

「知ってまーす。」

 

犯行者のひとりがそう言うと4人が一斉にバットを振りかぶった。

 

メッタ打ち。

 

「や・・辞めて下さい。命まではとらないで・・」

容赦ない打撃に気絶してしまった。

 

気がつくと金はなく。血とアザにまみれたじぶんの体だけがあった。

 

一般客は見て見ぬふりである。

 

「店長、オレ辞めます。」

佐藤が涙ながらいった。

 

もはや鮫島に彼を止めることはできなかった、

 

 

つづく